富士宮の高校を卒業して、どんな仕事をしようか迷っていましたが、いずれは独立してできる仕事をしたい、と思っていました。
40年前のちょうどその頃は、「モータリゼーション」の始まりで、自動車修理工場が増えている時期でした。僕の叔父が自動車修理業を営んでいたので、相談に行ったところ、「これから必ず車社会になる。ただ修理は誰でも出来るから、まだやり手が少ない板金塗装を学んだらどうだ?」と叔父の勧めもあって、自動車修理の業界に入りました。13年くらい丁稚奉公して33歳で独立し、現在の会社を設立しました。
僕らの仕事は、大量生産と違い手仕事がほとんどなので、月間でこなせる修理件数のキャパがだいたい決まっています。創業当初は、残業をしてでも頑張ってきましたが、時代の変化と共に残業は減らしています。社員達にも家族・子供ができ、それぞれの生活も大切に出来る企業体制を作らねばだめだな、と思ったんです。
板金塗装業というと、どちらかというと修理工場やディーラーの下請け・孫請け体質が強い業界で、値引きも当たり前でした。
そんな中、15年前〜20年前くらいにかけて、業界に変化がやってきました。ディーラーが下請けに出していた仕事を内製化し、修理屋も車の性能が上がった事により故障も減った為、自ら板金塗装も始めるようになりました。
残る僕たちは仕事を待っているだけではダメで、自分たちで仕事を獲得していくしか無い!自分たちも元請けにならなければならない!時代の変化・ユーザーニーズに合せてやらねば!と、自社営業に積極的に取り組み始め、徐々に、自社直接のお客様、お得意様も増やしてきました。
とはいえ、特別、がむしゃらに営業して回ったとか、広告をいっぱい使ったとかいうわけじゃないんです。
例えば、営業時間の見直しや駐車場を確保したり、看板を付けたり、会社の美観を整備したり、細かい仕事でもきっちり丁寧にやってきました。
時に仲間と集合広告を入れたり、といった事もありましたけれども、やはり基本は、お客様の為に出来ること、喜んでもらえることは何か?を考え一つ一つ、コツコツ取り組んでいきました。
会員の友人の紹介がきっかけで入会しました。入会する時にはすでに55歳・・・
55歳と言う年齢は、こういう団体はそろそろやめる頃?という考えがあったのですが、それまで異業種の会には縁がなく「どんな人がいるのかな?どんな事をやっているのかな?」と興味もあったのがきっかけです。
入ってみて"若い方が多く頑張っているな!"というのが第一印象で、上の方は知識が豊富で若い皆さんを上手く引っ張っているな〜と感じました。
自分は普通なら、教えて行く側なんでしょうけれども、入ったのが遅かったので皆さんに付いて行く様な気持ちで、色々な人と知り合い横の繋がりを大切にしながら参加しています。
おかげで、自動車業だけでは知り得ない様々な事を知る事ができました。なかなかこの年になると、今更聞けないような、他業界の常識とか、経営者同士、後継者同士ならでは、ざっくばらんに話をしあえる場所があるのはよかったですね。
あと、仕事上でのメリット、と言っていいのかわかりませんが、職業柄、事故や保険対応などであらゆる方と知り合う機会が多いのですが、同友会に入って、誰かしらの知り合いだった、という繋がりが以前にも増して多くなり、円満解決に向かいやすいきっかけにもなりました。
やはり人材育成と事業継承でしょうね。社員も、ただ単に職人であるだけではなく、お客様のニーズに対する、コストやサービスとのバランスを考えられるセールスエンジニアとしても成長が求められます。お客様が求めているのが、スピードなのか?技術の高さなのか?価格なのか?お客様の事情と修理内容で毎回状況が異なるので、それを会ってすぐに判断できるようになっていく必要があります。
例えば、次の車検まで乗れればいい、というお客様と、きっちり直してあと10年乗りたい、というお客様とでは、まったく対応が異なります。じゃあ、ディーラーだと修理部品は新品が原則だけれど、僕たちは要望から逆算してリサイクルパーツをすすめようか、と提案したりします。
経営面でも、僕がもう60歳になることもあり、事業承継を前提に、この5年10年で、一緒に働いている息子にバトンタッチしていきたいと思っています。
僕がそうだったから思うんですけれども、やっぱり、経営者の方や後継者の皆さんには、もっと若い時に早く入って欲しいな!と思います。早く入って、情熱的にやって欲しいな!と。考えること、知らない知識・世界を知ること、本音で話せる仲間に出会うこと、たくさんのことを学ぶキッカケになるんじゃないかと思います。
「お客様の喜ぶサービスを実践しよう」「ここに来てよかったと思う会社にしよう」シンプルですが、これにつきますね。
うちに来るお客様のニーズは様々です。安くやってほしい方、キレイに仕上げて欲しい方、早くやってほしい方、私たちが求められる仕事は様々です。
みんながここに来てよかったな!というサービス・付加価値を提供できたらと思います。
インタビュアー・記事
静岡県中小企業家同友会富士宮支部
Dグループ 望月俊和・渡邉昌和・田邉元裕
がお送りしました。次回お楽しみに!
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